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子供に教えるスキー その1

現在所属するクラブの活動として、去年今年と2年続けて、ジュニア基礎コースの指導をさせてもらいました。本来はクラブに「指導部」っていうのがあって、ここに所属する人が担当することなんですが、なにせ小さいクラブなんでそれだけでは人が足りません。

去年の副指導部長が友達だったせいもあって、頼まれて去年初めて幼稚園、保育園の年長から、小学校の低学年くらいの子を担当しました。この時は初めてだったんで、ただ無我夢中でやっただけでした。

でも、今年はRookie Academyも卒業したことだし、子供にもフィーリングスキーを取り入れたレッスンが出来ないものかと考えていたんです。問題は大人と較べて経験の少ない子供には、大人と同じ教え方をしても上手くいかないことが多いってことなんです。

たとえば、TOKさんのレッスンで代表的なものに、オレンジターンっていうのがあります。知らない人は「何それ」って感じでしょうけど、インエッジの辺りにオレンジがあって転がってるってイメージするんです。そして、雪の抵抗を受けるとオレンジがつぶれて、ジュースが出てくるってイメージして滑ると、そのオレンジのイメージを通して、雪面との圧のやり取りを感じながら滑ることが出来るんです。

フィーリングスキーの導入としては、比較的誰でもイメージしやすくて、効果があるものなんですね。でも、大人だったらオレンジを食べたり、ジュースを絞ったりという経験がたくさんあるんですが、小さな子供だとオレンジは食べたことがあっても、ジュースがどうのこうのはイメージしにくいです。

そこで、まず導入としてオレンジではなくて、スポンジボールを使ってみたんです。スキーブーツを履かないで、なるべく裸足に近い状態で足の裏にボールを置きます。そして足の裏のボールをつぶしたり、戻したりしてみるということをさせます。本物のオレンジをつぶすよりも、ボールならきちんと元に戻ってくれるんで、都合が良いんです。

この時、ただ立つんじゃなくて、プルークボーゲンのポジションをしっかり取ることが必要です。なるべくスキーの時に近い体の使い方をさせるんです。また、足の力でボールをつぶすんじゃなくて、体重を片方の足に移動することによって、ボールがつぶれるってイメージが大切です。

また、ターンの切り替えの時には、つぶれたボールが一度戻ってから、反対の足に移動して、またつぶれていくということを練習します。このつぶれたボールが戻るって事が実はとても大切で、角付けがスムーズに切り替わるコツなんです。

よくスキースクールなどに入ると、プルークボーゲンの導入で片方のひざに両手を置いたり、体を外側に傾けたりして、体重移動のイメージを教えるんですが、これだと上手く出来る子もいるんですが、出来ない子も出てきます。

実際、今年初めて教えた子供で、体を傾けてって教えてみたら、一生懸命傾けるんだけど、その結果反対の足が伸びて突っ張ってしまうおかげでエッジが立ってしまって、体重を移動してスキーが回ろうとするのに、反対側の足のエッジで逆方向の回転を与えてしまうんで、結局まっすぐいってしまうってことを経験しました。

ボールをつぶしてってイメージだと、過度に体を傾ける必要が無いんで、反対の足を突っ張ったりしないんですね。ただし、プルークポジション(ハの字)をしっかりとっていないと、なかなかターンが出来ません。私がハの字を維持するのに子供与えたアドバイスは、「うんちがまんする感じ」でしたが、これも上手くいきました。

よくよそのお父さん、お母さんが子供を教えるのに、「右足に体重かけて」とか、「体を傾けて」って言っているのを見かけます。理屈としては正しいんですが、ただでさえ重たいブーツとスキーをはかされて、日常生活とはかなり違う格好させられた上に、ツルツル滑る雪の上では、言われたことが上手く出来ない子がいても不思議じゃないんです。

もちろん、そういうやり方で滑って上手く出来る子もいます。でも、もし上手く行かなくて悩んでいる人がいましたら、ぜひ一度スキーもブーツもはかない状態で、こういう練習して見てください。間違っても「何で出来ないのよ!!」なんて怒らないで下さいね。

初心者が緩斜面を滑る時にはスピードが無いので、斜面を落下して雪からの抵抗を上手く使ってターンする、という技は使いにくいです(本当は出来るんですが、じっとスキーの上で曲がるまで我慢していなくちゃならないんで、子供には向きません)。ですから、最初はこうして体重移動を使って、ターンするというのが、子供に限らず大人でもやりやすい方法なんですね。

そうそう、実際にターンを教えるためには、ハの字で滑ったり止まったりということは出来ていることが前提ですよ。いきなりゲレンデに出て滑って曲がれでは子供も大変です。緩斜面のあとに平らなところがあって、何もしなくても止まれるような斜面を選んで、真っ直ぐに滑ったり止まったりがある程度出来るようになってから、ターンの練習をさせて下さいね。

親としてはなるべく早く子供に上手くなってもらいたいって考えてしまうんですが、子供がスキーが楽しいって思えるように、色々と遊んでみたりするのが良いと思います。厳しい特訓になり過ぎないように、子供と一緒に楽むことを忘れないで下さいね。

次回はいよいよオレンジターンです。

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子供に教えるスキー その2

前回はボールを足の下において、それを自分でつぶすということから、スキーにおける体重移動を覚えるというやり方を紹介しました。

自分で書いておいてなんですが、私もこれがどんな子供にも有効な唯一の方法なんて思っていませんので、もし、もっと有効な方法なんかがあったら、どんどん教えてくださいね。

さて、今回はオレンジターンです。前回も少し書きましたが、このイメージはまずスキーのインエッジの辺りに、オレンジを意識します。それがつぶれた時には、雪面にジュースが出て行き、元に戻る時にはそのジュースが戻ってまた丸いオレンジの形に戻るのです。本物のオレンジだと、つぶした後に力を抜けても形は元に戻らないのですが、あくまでイメージの世界ですのでそう思ってください。

ここで、フィーリングスキーの一つの特徴を紹介します。オレンジからジュースを出す一つのイメージは、体重をかけて自分でつぶしてジュースを出すことです。もう一つは斜面移動する、(斜面を落下する)ことにより、オレンジがつぶされてジュースが出てくるというイメージです。この2つは結果としてジュースが出てくるのは一緒ですが、スキーの運動としてはかなり違います。

一方は自分から圧を作り出すイメージ、もう一方は雪から圧をもらうイメージになります。前回も書いたように、初心者が緩斜面で滑るときはスピードが無いので、体重をかけることにより、オレンジをつぶしていくイメージで無いと難しいです。一方、少しスピードが上がってくると落下の位置エネルギーを使えますので、後の方の雪面から圧をもらうというイメージで滑れるようになります。

この2つを較べると、斜面移動によって雪からの圧をもらうほうが、自分の力をあまり使わないので、力の無い子供やシニアにはより適した滑り方になります。でも、この理屈は大人ならなんとなくわかるんですが、子供にこんな説明してもまずわかってくれません。なので、ここからが腕の見せ所ってことになります。

まず使う道具としては、「みかん」です。オレンジの方が形が球に近くて転がるってイメージには向いているのですが、子供にオレンジと言ってもわからない場合がありますから、日ごろ慣れ親しんでいるみかんを使いました。で、まずはみかんの皮をむいて、口に入れます。えっ、食べちゃうの?と思うでしょう。実はそのとおりです。でも、ただ食べるだけじゃないんです。

奥歯でそっとみかんを噛んで、ゆっくりとつぶしていきます。そうすると、プシュっとつぶれてジュースが出ます。このつぶれてジュースが出るって感じを、子供に体験して欲しいんです。さて、いくつかみかんを食べてジュースが出る感じがわかったら、今度はスキーをはいてやって見ます。

最初はあくまで自分でみかんをつぶして、ジュースが出てくる感じです。でも、足で踏みつけるのではなくて、ゆっくり体重をかけてつぶす感じにすると、力むような力の使い方にはなりません。最初はゆっくり滑っているわけですから、こんな感じで、ターンすることに慣れていきます。

この時に一緒に滑りながら、「左ジュース」とか「右ジュース」と声をかけてやります。そうすると、みかんがつぶれてジュースが出るイメージを思い描くのに役に立ちますよ。そして、一度つぶしたみかんを力を抜いて(両足の重さを一緒にして)、戻していきます。両方の足にかかる体重が全く同じになってから、反対の足のみかんをつぶしていきます。

じわっーとつぶして、じわーっと戻すのがコツです。決して、みかんがあたりに飛び散るようなつぶし方をしちゃいけませんよ

ちょっと、長くなってきてしまったので、この続きは次回で書きたいと思います。

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子供に教えるスキー その3

前回はオレンジならぬ、みかんのジュースを出して滑るところまででしたね。ちょっと、この先までは子供たちと検証出来なかったのですが、もし自分が滑るとしたら、足の裏に置いたオレンジを最初はインエッジの土踏まずあたりに意識することが大切です。

だいたいこの辺っていうのでは、支点があちこちへふらふら動くことになり、安定して滑るのが難しくなります。自分で滑ってみて、一番安定する場所にオレンジを意識したら、ずっとそこに固定しておきます。上達するに連れてその位置は変更されることになりますが、その場合も別の位置で固定されます。

低速ではオレンジからジュースがでて来るのは、体重移動を使って両スキーにかかっている重さのバランスを崩してやるからでした。速度が上がってくると、斜面を移動することにより雪の抵抗を受けて、オレンジがつぶれてジュースが出てくるイメージです。

さて、ジュースが出ると言っていますが、これは何のために意識しているんでしょうか?実はただジュースが出れば良いのではなくて、その方向や強さが問題になります。これはとても大事なことなんですが、子供にその理論を教えようとすると難しいです。

そのため理屈は抜きにして、「みかんから出たジュースがおへそにかかってくるんだよ」などとイメージだけを伝えます。そうすると、体の向きが自然と雪からの圧の来る方向へ向くようになります。きちんとスピードコントロールするためには、外向姿勢が大切なんですが、これが自然に出来るようになります。

大人の皆さんには少し理論を書いておきますが、ジュースの飛んでくる方向と受ける場所のイメージにより、ターンのスピードや円弧の大きさ、切れなどが変わります。スピードが速くなればジュースは勢いよく飛んできます。大きなターンでは胸にジュースが飛んでくるイメージ。小さなターンでは、膝にジュースが飛んでくるイメージになります。

また、小さなターンではオレンジがインエッジよりも内側にあるように意識すると、角付けが強くなります。ズレの要素が多いターンだと、オレンジの位置は少し外よりになります。

このオレンジターンで大切なことは、きちんと滑っている人にイメージが出来ることです。何となくオレンジではだめで、イメージしたオレンジに意識が集中して、そこから色々と感じ取ろうとする努力が大切です。

ただ、この辺は大人ならきちんとしなければならないことですが、子供はそれを厳格にやろうとするとわからなくなってきますので、その辺りの見極めが大事ですね。

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